
海外で新規事務所・生産拠点の立ち上げ、販売地域の拡大などを行う場合、事前の入念な調査が今後の展開に大きく関わってきます。国内目線や感覚では見えてこない現地事情をしっかりと把握し、戦略的計画を立てて成功へとつなげるためには、何よりもまず的確な海外市場調査が不可欠といえます。
目次
- 社内関係者だけでは限度がある海外市場調査
- 調査だけにとどまらないビジネス展開の助っ人にも
- 海外進出のタイミングを見極めることも大切
1.社内関係者だけでは限度がある海外市場調査
いかなる分野でも、またどのような製品やサービスを扱っているかにかかわらず、海外進出を検討する上で必要となるのが海外市場調査です。社内に該当地域の担当者がいる、幾度となく現地に足を運んできた社員がいる場合、彼らが最も現地の感覚や事情に精通したキーパーソンとなりますが、国内を拠点として物事を考えるにはやはり限度があります。
長期にわたって現地に駐在する人間なら、一般的な知識や感覚は備え持っているはずですが、経済面や社会面、或いは政治的影響などあらゆる情報を掴み、分析する能力までを求められるかは疑問です。進出全般のノウハウに長けた調査会社を利用する最大のメリットは、競合他社や顧客情報までを含めた、より深い市場調査が可能となることです。
こうした情報は事業計画の段階から有益であり、事業を取り巻く環境や現地経済状況などあらゆる要素を的確に掴むことができます。こうした現場目線ならではの情報を国内で収集することは困難であり、どれだけ高度な通信機能に頼っても平面的な知識にとどまってしまうものです。
展開計画の当事者である社内関係者の視察なども有効といえますが、中枢的な役割を果たすのは間違いなく、現地に精通する専門性の高い市場調査結果となるはずです。専門家のノウハウと洞察力から見えてくる情報に社内目線を当ててみれば、さらなるイメージが生まれるでしょう。
2.調査だけにとどまらないビジネス展開の助っ人にも
調査会社によっては得意とする地域や国があるかもしれませんが、多くは世界各地で調査を行ってきた実績を持っています。ビジネス進出が続く地域では情報が散乱する中で、確実に必要な情報を選別し、必要に応じてさらに深く分析しなければなりません。
一方、未開とされる地域にいち早く乗り込んでいく場合には、乏しい情報しかないことも少なくありません。情報収集の目的で現地入りしたところで、入手できる情報は限られるでしょう。まして遠方や僻地など、現地入りさえ容易ではない場所もあるはずです。そうした地域や環境では、調査自体が貴重な情報であることに加え、その先のサポートの有無も進出を左右することになるでしょう。
調査会社の多くはビジネス進出に必要なサービスを提供しており、現地での足がかり的存在となることもあります。事業進出を丸々手助けしてくれるわけではありませんが、必要な助言や最新情報など、調査資料以外にも少なからずヒントが得られる貴重な場所です。
現地に事務所がある場合や調査員が派遣されていれば、助言一つも得られやすく、進出後でもいざという時の頼れる存在となるはずです。他国で海外進出経験がある企業であっても、国が違えば経済状況からビジネス環境まですべてが異なり、一からのスタートを切らなくてはなりません。展開に必要なサービスやアドバイスを効率よく使い、成功させることが最大の目的です。
3.海外進出のタイミングを見極めることも大切
海外市場調査を依頼すれば、より確実な計画を進めていく有力な材料となることに違いはありませんが、入手した資料をさらに活かしていかなければなりません。事業展開するからには進出先が有力候補であると見込んでいるわけですが、競合相手は国内のライバル会社だけではなく、世界中の企業です。
競合相手の出方を注視しながら、業界全体がどのように変化しているのか、また一国の政治や経済状況がどのようなポジションにあるかなど、広域に目をやることも忘れてはならないのです。世界が動く前に一刻も早く、というスピード感はビジネスを大きく左右しますし、世界のスピードは日本の速度とは比べものにならない勢いといわれます。
流動的な状況で、いつ、どのように進出するかというタイミングを決めることは、あまりにも多くの要素が複雑に関係するため容易なことではありません。世界各地で進出を手がけてきたベテランにとってさえ、慎重にならざるを得ないものです。あくまでも進出する立場で出るタイミングを見計らうわけですが、先方の環境を軽視することはリスクを高めているのと同じです。
前のめりになる気持ちに押されすぎず、必要であれば時間を稼ぐぐらいの見方が求められるため、社内の意見と同様に、調査側の感覚や視点も参考にしたいものです。現地の変化や情勢を熟知する人の声は一度と言わず、定期的に確認するぐらいの慎重さが求められるところなのです。
海外進出に拍車がかかっている業界や分野ではノウハウが広く知られているようにも映りますが、世界的に不安定な情勢のなか、着実に展開、成功へと前進するためには最新の市場調査が不可欠です。現地に精通した、専門的視点から得られる情報こそが計画の基盤となることでしょう。
